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とるにたらないけれど、欠かせないもの。気になるもの。愛おしいもの。忘れられないもの―。輪ゴム、レモンしぼり器、お風呂、子守歌、フレンチトースト、大笑い…etc.。そんな有形無形の身のまわりのもの60について、やわらかく、簡潔な言葉でつづられている。行間にひそむ想い、記憶。漂うユーモア。著者の日常と深層がほのみえる、たのしく、味わい深いエッセイ集。 (出版社紹介文より引用)


直木賞作家でもある江國香織のエッセイ集です。
上記の出版社紹介文でもう充分なんじゃないかとも思うのですが、それじゃこのブログが成り立たない… なので蛇足だと思うのですが、私なりに少し書いてみます。

ほんとに身近なものをテーマに、簡潔でナチュラルな言葉で綴られたエッセイ集です。
さらっと何気なく書かれたような一編のエッセイが、その言葉の選び方と透明感のために、まるで極上のショートショート(短編)のような読後感をもたらします。
それにしてもこの平仮名と漢字の使い分けの見事さ! これって真似するとすぐわかっちゃいます(誰とは言いませんが…)。

しかし、何気ない日常の一コマを文章にしているだけ(”だけ”ってところが誤解を招きそうですが)なのに何故こんなにも美しいのだろう?
以下ささやかな考察。

この作家の書いたものを読んで毎回思うのは、「なんて清潔感のある文章を書くんだろう!」ということです。
女流作家(という括りはあまり好きではありませんが)ならでは云々…、みたいなことが簡単に言われがちですが、女性だからという理由で皆がこういう瑞々しい文章を書けるわけではありません。
「文は人を映す鏡」という言葉もありますが、これは技術というより、やはり人柄のなせる業なのではないでしょうか。
文を書くスキルは誰でも学べば会得できますが、感性というのは学んで獲得出来るものじゃないと思います。それは生きていくうえで築かれ、磨かれていくものだと思うから。
日々の生活の中で見たもの、聞いたもの、感じたこと、思ったこと、それらを自分の考え(意見、あるいは思想)としてしっかり血肉にできている人だけが、魅力ある文体を持つことが出来るのではないでしょうか。
結局のところ文体の確立っていうのは、そういうことなのかもしれません。

またしても作品の紹介というより、作家の紹介と私のくだらない考えを垂れ流すことだけに終始してしまいましたがっくり

以上。【とるにたらないものもの】の紹介&レビューでした<(_ _)>